nokky's blog

音楽家の気まぐれブログ

音楽の変化と長生きなアナログ楽器の魅力

日本では最初の楽器で、2003年当時、お世話になっていた輸入代理店のオーナー様よりイタリアから輸入して頂きました。受注生産の後、やっと2004年に入荷、今年で20年になりました。毎回、使用後には手入れに時間をかけ、ノントラブルにて仕事を行っています。


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輸入代理店のオーナー様は、その後、惜しくも他界されました。きちんと手入れを欠かさず大切にすることが、随分とお力になって下さったオーナー様への感謝でもあります。

楽家として、様々な場所で演奏を行う日々、このビブランドネオンが手元に来た20年前と比べると、世の中の音楽の概念は随分と変わったように感じます。

 

僕が若くして初めて仕事に就いた47年前とは音楽は変わりました。世代も変わり、当然、世間の価値観も変わました。

凄いパフォーマンスが重要視される今、You Tubeなどの動画の中の音楽は観て楽しむものに人気があるようです。しかし、アナログ時代、人々の耳から入っていた音楽は、多くが優しい揺らぎを放っていました。

とは言え、僕は、仕事ではデジタルだらけの作品制作が必須なことから、避けては通れない日々を送っています。だからでしょう、揺らぎを一層感じるアナログ音楽の魅力に取りつかれており、演奏の仕事では、シンセサイザーを使用する頻度も、歳を増すと共に減って来ています。別にアンチデジタルではないのですが。

ビブランドネオン。このアナログ楽器はとても豊かな倍音を含む音色。これまで仕事の現場に持ち込むことは、頻繁に行っていなかったこの幻の名器を、最近はコンサートでも、よく使っています。

どの楽器も、パフォーマンスも重要視する道具です。しかし、更に深い部分では、その楽器にしか出ない揺らぎを、演奏者がどこまで引き出せるかが大切だと思っています。

 

講釈ばかりを並べ立てるようになったけど、歳かな……


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